Cryptococcus感染症は、AIDSの日和見感染症の一つとして重要な疾患であるばかりでなく、健常人にも発症する疾患である。近年、細菌や寄生虫などの感染症における主たる抗原がこれらの病原体のストレス蛋白(Heat shock protein:HSP)であり、HSPが宿主の免疫応答を引き起こす認識抗原となっていることが明らかになった。しかし、Cryptococcus neoformansに関する報告は未だみられない。今回、我々は肺感染マウスモデルを用い、Western blotting法にて、感染マウス血清中のHSPに対する抗体の存在の有無について検討を行った。その結果、感染血清中には菌体の蛋白に対する数種類の抗体の出現が認められた。その中で77kDaの蛋白は、immunodominantで、抗HSP70抗体を用いた実験などでHSP familyであることが証明された。これらの結果より、Cryptococcus感染症においても他の感染症と同様に微生物自身のHSPが免疫応答を引き起こしているものと思われた。本研究は、Cryptococcus感染症における免疫機構の一部を解明できたと思われる。
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