研究概要 |
ヒトHMT遺伝子発現の調節機構解明に先立ち、転写開始点とその上流域を含むHMT染色体遺伝子の全構造を明らかにする必要がある。そのためにヒト染色体遺伝子ライブラリーからヒトcDNAプローブを用いてHMT遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定し、エクソンとイントロンとの関係を解析してHMT遺伝子の構造を明らかにした。ヒトHMTの遺伝子構造の解析に関してはEMBL3ファージベクターで作成されたヒトゲノムライブラリーをヒトHMTcDNAでスクリーニングし、得られたファージクローンよりヒトHMT遺伝子構造を決定した。またヒト腎臓より抽出したRNAを用いてprimer extension法により転写開始点を決定した。また染色体上のHMT遺伝子の局在を決定するために第一及び第2イントロンを含むgenomic probeを用いてFISH法を施行した。結果はヒトHMT遺伝子は6個のエクソンからなり、第一エクソンは137塩基の翻訳領域と383塩基と比較的長い非翻訳領域を有する。転写開始点の5'上流領域にはTATA様配列は存在せず、転写開始点から5'上流2kb以内には3個のSP-1,5個のGATA,2個のIRF-1,5個のLBP-1結合可能配列が存在した。HMT遺伝子の多型性に関しては、これまで翻訳領域の314番目のCがTに変換しスレオニンがイソロイシンに変わる場合と、595番目のGがAに変換しバリンがイソロシンに変わる場合が報告されている。
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