研究概要 |
活性化好酸球が産生・放出するメデイエーターのうちH_2O_2とロイコトリエンC4とに着目し、これらの好酸球接着能ならびに血管内皮細胞接着分子発現におよぼす影響を検討した。H_2O_2は0.1-1uMの濃度で好酸球の血管内皮細胞への接着を有意に促進した。同様の効果が1uMのロイコトリエンC4によっても得られた。H_2O_2の好酸球接着促進効果は抗β2インテグリン抗体によりブロックされたが抗α4インテグリン抗体によっては修飾されなかった。H_2O_2の効果は抗CD11b抗体により部分的に抑制を受けたが抗CD11a抗体によっては影響を受けなかった。H_2O_2はこれらの接着分子の発現量を増強し、好酸球接着能に対する効果の少なくとも一部はこの接着分子発現増強作用を介した作用であると推定された。一方、H_2O_2は血管内皮細胞上のVCAM-1,ICAM-1発現量には影響を及ぼさなかった。次に我々は好酸球特異顆粒蛋白であるmajor basic protein(以下MBP)の好酸球接着分子発現に及ぼす影響を検討した。MBPは高濃度(3uM)において好酸球表面のCD11cおよびCD54(ICAM-1)の発現を増強した。CD11a,CD11b,CD18,CD29については一定の傾向はみられなかった。さらにMBPは高濃度(3uM)において好酸球の肺血管内皮細胞への接着反応を増強することを観察したが、この増強効果は抗接着分子抗体による修飾を受けず、その機序についてはさらなる検討を要すると考えられた。
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