研究概要 |
本年度は培養ヒト気道上皮細胞HS-24を用い,エリスロマイシン(EM)の抗炎症・免疫抑制作用につき,その作用機序をdifferential display法を用いて解析を開始した.対照群としてRPMI1640培養液にて培養されたHS-24細胞を用い,これにEMを添加して培養した群,炎症性刺激であるTNF-αを添加した群,さらにEMとTNF-α双方を添加した群の4群間においてmRNRの発現の違いを検討している.各細胞群より超遠心法によりRNAを抽出,anchored oligo(dT)primerを用いreverse transcriptaseによりcDNAに変換した.このcDNAをtemplateとしてanchored oligo(dT)primerと5種類のarbitrary primerを用いPCR増幅を行った.4群の細胞それぞれより得られたPCR productをpolyacliamide gel上で電気泳動をおこない,銀染色にてDNAのバンドを可視化した.群間で差異の認められるバンドは現在約80得られている.それらのバンドをゲルより切り出し,PCR増幅に使用したと同じanchored oligo(dT)primerとarbitrary primerを用い,再度PCR増幅.PCR産物をTA cloningシステムによりクローニング.insertを有するものを選択し,dideoxy chain termination法にてdirect sequenceをおこない塩基配列を決定.決定された塩基配列が既知の遺伝子とhomologyの有無を検索中である.現在切り出し以降の操作を得られたバンドにつき繰り返し施行中である.また当初の予定であったサイトカインのEM投与前後の変化についても検討を開始している.
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