1.低分子量Gタンパク質(p24^<rab>)に対するポリクローナル抗体の作成。 (1)p24^<rab>に対するcDNAを組み込んだバキュロウイルスをSf9インセクト細胞に感染させ、同細胞にリコンビナントp24^<rab>を産生させ、Ni-アフィニテイーカラムを用いて同タンパク質を精製し、これをウサギに免疫し、抗体を産生させた。 (2)p24^<rab>のC末端側より20アミノ酸残基を合成し、KLHヘモシアニンに結合させた後、ウサギに免疫し、抗体を産生させた。 以上の2通りの免疫方法で行った抗血清を検討したところ、(2)が感受性に優れていた。さらに同合成ペプチドをリガンドにしたアフィニテイークロマトグラフィーで抗血清を精製し、全肺ホモジネートおよび肺胞II型上皮細胞ホモジネートに対するウェスターンブロッティングを施行したところ、p24^<rab>とみなされる約24kDaのバンドが検出されたが、約100kDaの他のバンドも検出され交差反応と考えられた。しかし、TritonX-114で抽出した材料では単一の24kDaのバンドのみとなり、選択性は高いと考えられた。 2.肺組織におけるp24^<rab>タンパク質産生細胞の同定。 抗p24^<rab>抗体を用いてラット肺凍結切片について免疫組織染色を施行したところ、気道上皮に強い陽性所見をまた肺胞II型上皮細胞にも弱いながら陽性所見を得た。したがって、同タンパクは気道上皮、肺胞II型上皮細胞で発現していると考えられた。 3.肺組織でのp24^<rab>に対するmRNA発現細胞の同定。 cDNAプラスミドベクターより制限酵素でcDNAを切り出し、RNAプローブ作成用のRNA転写用プラスミドに組み換えした。現在、インサイトハイブリダイゼーションを行っているところである。 4.肺胞II型上皮細胞からのサーファクタントフォスファチジルコリン(PC)の分泌における3量体Gタンパク質の役割。 ラットより肺胞II型上皮細胞を単離し、[^3H]コリンでラベルし合成された[^3H]PCの分泌を観察したところ、促進性Gタンパクを活性化するとされるコレラトキシンは分泌を強力に抑制し、抑制性Gタンパク質を活性化するとされる百日咳トキシンは効果が無かったところより、II型細胞においてはアデニレートサイクレースを刺激する促進性Gタンパクは分泌抑制に働く事が知られた。しかし、この分泌反応におけるp24^<rab>の関与はまだ明らかではない。
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