研究概要 |
[1]骨格筋壊死・再生過程におけるNOS(NADPH-diaphorase:NADPH-d染色)およびdystrophin関連蛋白の局在:ラット前脛骨筋Cadiotoxin筋注による筋崩壊・再生筋線維では、dystrophin,αsarcoglycan免疫染色にて筋注5日後から再生筋膜が弱く,7日後に明瞭に染色された.α1 syntrophinは,7日後に再生筋膜に不連続に,10日後には連続性に染色された.NADPH-d染色では10日後より染色され,14日後に明瞭に染色された.多発筋炎の壊死・再生筋ではdystrophin,α sarcoglycanは明瞭に染色されたが,α1 syntrophin,NADPH-dは染色性が低下していた.Duchenne型筋ジストロフィー保因者発症例ではdystrophin陽性,陰性線維が混在し,α1 syntrophin,α sarcoglycan,NADPH-dもdystrophin陰性線維では染色性の低下が認められた.ラット骨格筋における実験的壊死・再生を呈した筋線維においてdystrophin,α sarcoglycanの発現はほぼ同時で差がなかったが,α1 syntrophinの発現はやや遅れる傾向があった.ヒト病的骨格筋でも同様の傾向を認めた. [2]骨格筋培養細胞におけるサイトカインによるnitric oxide(NO)の産生誘導:マウス骨格筋筋芽細胞C2C12を培養24時間後,サイトカイン刺激を行った.サイトカイン無刺激群,単独刺激群(TNF-α,INF-γ,IL-1β)では,nitriteの産生は認めなかったが,復号刺激群(TNF-α+INF-γ+IL-1β)ではnitrite産生を認めた.複合刺激群に10-^6M〜10-^3M L-NAME負荷では,nitrite産生は濃度依存性に抑制され,Cu/ZnSOD,Mn-SOD負荷(1〜1000U/ml)も,ともに濃度依存性に抑制された.カタラーゼ1000U/ml負荷でもnitrite産生が抑制された.マウス骨格筋筋芽細胞においてサイトカインの複合刺激によりNOが産生されることを確認した.NOS阻害剤であるL-NAMEのNO産生が抑制されたことは,この反応がNOSを介したものと考えられる。SOD,カタラーゼでもNO産生抑制がおこったことは,superoxideやH_2O_2がiNOS誘導に対し影響を与えている可能性を示唆している.
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