研究課題/領域番号 |
08670705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (90212761)
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研究分担者 |
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90181297)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 内側側頭葉 / てんかん / 随意運動 / 準備電位 / 随伴陰性変動 / 前頭葉 / 脳電位 |
研究概要 |
本研究補助金が授与された2年間にヒトの随意運動における緩電位の発生機序、てんかんにおける緩電位変化に関して、次のような成果が得られた。 (1)ヒトの随意運動における緩電位の発生機序 外的刺激に随伴する緩電位(随伴陰性変動:CNV)をてんかん手術のために留置された硬膜下電極を用いて脳表面から直接記録して、一次運動野以外の発生源を明らかにし(原著2,21)、基底核傷害で異常を示すことを明らかにした。対刺激を選択課題とした場合は、CNVのうち行動決定のための判断に関係する電位が明瞭となりその発生源を明らかにして、CNVが随意運動の準備以外に高次脳機能を反映することを具体的に示した。 自発的な随意運動に先行する緩電位変化(準備電位:BP)の発生には意欲・動機づけが深く関与すると考えられた。そこで難治の左側頭葉てんかん患者で左内側側頭葉を切除後にBPを検討すると、右手運動に先行するBPが左手運動の場合より有意に振幅が減少していて、海馬からの入力の意義を明らかにした。CNVは期待・動機づけに深く関わるため、その発生にはBPと同様に内側側頭葉の関与が考えられ検討した結果、CNVにおいてもほぼ同様の傾向が得られた。 (2)てんかんにおける緩電位変化 てんかん発作時には「発作時DC電位」と呼ばれる緩徐な脳波変化が実験てんかんでみられる。ヒトの難治部分てんかんの焦点での発作時DC電位を脳表面および頭皮上電極から記録して、その臨床的意義を明らかにした。また直接脳表面から上記のCNV、BP等の脳電位を検討することにより大脳皮質の機能をより明らかにするばかりでなく、電気生理学的手法を用いてヒトのてんかん原性焦点に関する新しい知見を得た。 (3)将来の展望 今回は脳磁場計測によるCNV、BPの検討まではできなかったが、現在まで得られた知見をもとに、これらおよび発作時DC電位の発生機序を脳磁場計測の所見から検討を今後進める予定である。これらの電位の発生機序を明確しつつ、同時に臨床応用を今後さらに進めていく予定である。
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