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1996 年度 実績報告書

ドパミンと神経毒6-ヒドロキシドパミンによる神経細胞障害の分子機構の差異の検討

研究課題

研究課題/領域番号 08670708
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

小川 紀雄  岡山大学, 医学部, 教授 (90033208)

キーワードドパミン / L-DOPA / 6-OHDA / フリーラジカル / 鉄 / 遷移金属 / NO / DNA損傷
研究概要

ドパミン(DA),L-DOPA,6-hydroxydipamine(6-OHDA)などのDA系薬剤と金属イオンとによるフリーラジカル傷害の解析から,Parkinson病などの緩徐進行性神経変性の機序の解明を目的とする.
1.DAやL-DOPAと鉄イオン,過酸化水素の3者を反応させると,反応開始直後から強い濃緑色の発色がみられ,一方,6-OHDAの場合には自己酸化による淡い黄褐色の発色がみられた.
2.DAとL-DOPAはFe(II)によるDNA損傷をin vitroで著しく促進させた.また,高濃度のCu(II)とDA系薬剤の共存はDNA損傷を惹起した.また,Zn(II)と過酸化水素のみではDNA損傷を惹起しないが,6-OHDAが存在するとDNA損傷を惹起した.Al(III)はそれ自身でDNA損傷を惹起した.
3.Fe(II)と過酸化水素によるFenton反応では大量の水酸化ラジカル(HO・)が発生した.Zn(II)の場合に6-OHDAが共存したときのみにFe(II)場合に匹敵するHO・の発生がみられ,上述のDNA損傷がHO・によるものと考えられた.一方,Cu(II),Al(III)によっても著しいDNA損傷が発生するが,それに対応するHO・の発生はみられず,Fe(II)とは異なった機序でDNA損傷をもたらすものと考えられた.
4.NOラジカル消去活性を定量できる新規測定法を確立し,DA agonistがNOラジカルを消去し,この作用がDA agonistの神経保護作用の一端である可能性を明らかにした.今回新たに開発したNOラジカル消去活性の定量法はNOラジカル消去能をもつ薬剤のスクリーニングに有用だと考えられる.
5.培養神経細胞およびグリア細胞で,6-OHDAあるいは過酸化水素の添加後の細胞生存率は,ともに薬剤の濃度および処置時間依存的に低下した.しかし,グリア細胞は神経細胞に比べて両者に対する抵抗性が高く,特に過酸化水素に対しては高濃度においてもかなりの生存率が認められた.

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Iwata,E.: "Neurotrophin-3 increases the DNA-binding activities of several tanscription factors in a mouse osteoblastic cell line." Biochem.Biophys.Acta. 1311. 85-92 (1996)

  • [文献書誌] Nishibayashi,S.: "Scavenging effects of dopaminergic agonists on nitric oxide radical." J.Neurochem. 67. 2208-2211 (1996)

  • [文献書誌] Ogawa,N.: "Long-term time course of regional changes in acetylcholinergic indices following transient ischemia in the spontaneously hypertensive rat brain." Brain Res.712. 60-68 (1996)

  • [文献書誌] Tanaka,K.: "Relationship between cholinergic dysfunction and discrimination learning disabilities in Wistar rats following chronic cerebral hypoperfusion." Brain Res.729. 55-65 (1996)

  • [文献書誌] Matsuura,K.: "Cyclosporin A attenuates degeneration of dopaminertic neurons induced by 6-hydroxy-dopamine in the mouse brain." Brain Res.733. 101-104 (1996)

  • [文献書誌] Asanuma,M.: "Alterations of cAMP response element-binding activity in the aged rat brain in response to administration of rolipram,a cAMP-specific phosphodiesterase inhibitor." Mol.Brain Res.41. 210-215 (1996)

  • [文献書誌] Ogawa,N.: "Free Radicals in Brain Physiology and Disorders" Academic Press, 10 (1996)

  • [文献書誌] 小川紀雄: "最新 脳と神経科学シリーズ-1 「遺伝子異常からみた神経疾患」" メディカルビュー社, 12 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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