遺伝性末梢神経障害の中で最も多いCharcto-Marie-Tooth病(CMT)の原因の1つとしてconnexin 32(Cx32)遺伝子の変異がある。我々はCx32変異の発症メカニズムを検討し、以下の結果を得た。 1.Cx32蛋白は末梢ミエリンに存在し、ラットにおけるnerve injuryや培養シュワン細胞などにおけるMRNAの変化は末梢ミエリンの代表的蛋白であるPoのそれとほぼ同様であった。ただし、以下の2点で異なっていた。1つはPo mRNAは生後14日付近にピークがあるが、Cx32 mRNAは14日以後も徐々に増加した。もう1つは培養シュワン細胞における出現で後根神経節細胞とのco-cultureではPo mRNAはすぐに発現するのに対してCx32 mRNAは7日以後であった。 2.Connexinには多くの種類があり、一つの臓器には通常2つ以上のconnexinが発現している。末梢神経にもCx32以外にCx43が発現していた。しかし、Cx44はシュワン細胞体にのみ存在し、ミエリンにはなかった。
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