研究概要 |
1.変異connexin32(Cx32)の細胞へのtransfection 日本人Charcot-Marie-Tooth病typeXでの変異Cx32の2種(C53S,P172R)をC6細胞に感染させ、機能を検討した。 (1)変異Cx32の発現はmRNAレベルでも、蛋白レベルでも、そのsize,量とも野生型Cx32と同じであった。即ち変異Cx32も蛋白まで正常のプロセッシングを受けていると考えられた。 (2)細胞の免疫染色で観察すると、野生型Cx32感染細胞では細胞膜がdot状に染まったのに対して、変異Cx32では2種とも細胞質が強く染まり、細胞膜はdot状には染まらなかった。即ち変異Cx32蛋白は細胞膜まで移行していない可能性が考えられた。 (3)lucifer yellowの細胞間移動を観察すると、野性型Cx32感染細胞では十分な移動があるのに対して、変異型では殆ど移動は観察されない。即ち変異型Cx32は正常なgap junctionを形成しえないと考えられた。 (4)変異型Cx32感染細胞のミエリン遺伝子発現と細胞増殖能は、野生型のそれと差はなかった。即ち少なくともこの実験系では、変異型Cx32がそれらに影響を及ぼしている証拠は得られなかった。 2.培養シュワン細胞でのCx32の発現 後根神経節細胞とシュワン細胞のco-cultureでCx32の発現を検討した。ミエリン塩基性蛋白(MBP)とPo蛋白は培養の2日から発現しているのに比べ、Cx32は培養開始後1週間以後に始めて出現した。それはmRNAレベルでも蛋白レベルでも同様であった。以前のin vivoのデータと併せて、Cx32はミエリン形成にはさほど必要ではなく、その維持により必要であることが考えられた。
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