研究概要 |
Distal myopathy with rimmed vacuoles(DMRV)の疾患特異遺伝子解析のためのdifferential display(DD)法を確立するために、サンプル量の少ないヒト正常およびDMRV筋に先立ち、最初に本症の疾患モデルであるラットのchloroquine(CQ)-induced myopathyのヒラメ筋を用いて行った。これはモデル筋とDMRV筋の特異遺伝子を比較することによりDMRV筋により特異性の高い遺伝子を得るためにも重要である。各々AGPC法によりtotal RNAを抽出し、DNase処理後、ribosomal RNA bandを確認し、2μgをcDNA合成に用いた。アンカープライマーにoligo(dT)を用い、MMLV逆転写酵素と共にcDNAを合成した。さらにランダムな25merの任意プライマーを用い、40℃でアニール後、RT-PCRで増幅した。各プライマーにはDelta RNA Fingerprinting Kit (Clontech,,Palo Alto,CA USA)を用いたが、9種類のOligo(dT)と10種類の任意プライマーより成り、90の種類のupおよびdownstreamの組み合わせが可能である。増幅されたDNAは5%変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、乾燥後、オートラジオグラフィーを行った。正常およびCQ筋では70〜80のbandsが得られた。そのうち460bpのbandがCQ筋のみにみられ、反対に660,630,280bpのbandsは認められなかった。ほぼDD法が確立したことより、ヒト正常およびDMRV筋についても同様の条件下で行い、現在までに数個の疾患特異性が疑われるbandsを得ている。今後、これらのbandsを抽出し、再度PCRで増幅後、TA cloning kitを用いてベクターに組み込み、クローニングを行う。Plasmid dot-blotting法により目的のcDNA fragmentに由来するか否かを確認し、dideoxy法によりインサートのシークエンスを行い、塩基配列を決定する。得られた塩基配列を基にホモロジー検索を行い、既知の遺伝子か否かを検討すると共に、目的mRNA発現量の確認をRT-PCRまたはNorthern blot法で行い、さらにin-situ hybridizationで筋線維内局在と動態を検討する。
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