研究概要 |
Neuropeptide-Y(NPY)は36アミノ酸からなるペプチドで,血管内投与において脳血流量(CBF)を減少させるとする報告もあるがいまだ明らかではない.本年度はNPYの脳微小血管に及ぼす影響を光電法により連続的に記録した. 方法:17匹のネコ(平均体重2.4Kg)を用いた.α-chloralose50mg/kgおよびurethane500mg/kgの腹腔内投与により麻酔し,人工呼吸器により調節呼吸とした.一側股動脈よりカテーテルを挿入し,全身動脈血圧を連続記録し,平均動脈血圧(MABP)を計算した.光電装置(Am J Physiol 245:H56-63,1978)を大脳皮質に装着し,局所脳血含量(CBV)を連続記録した.また平均通過時間(MTT)を計算し脳血流量(CBF)を求めた.NPY0.1ug/kgを生理食塩水に溶解1mlとし,左舌動脈より注入した.注入後1分,5分,15分,30分,60分でMABP,CBV,CBFを求め,それぞれ注入前に対するΔMABP,ΔCBVを計算した. 結果:ΔMABPは全測定時間で有意な変化を認めなかった.ΔCBVは注入後1分で+1.17【+-】0.17vol%(p<0.01)と有意に増加したが,その後前値に復した.CBFは前値69.5【+-】11.2ml/100gbrain/minに対し,1分後93.1±14.7ml/100gbrain/minと有意に増加(p<0.05),5分後では前値に復した.さらに15分以後から60分(43.0【+-】9.6ml/100gbrain/min)まで有意に減少を続けた(p<0.05).また1分後のCBVの上昇はL-NMMAの前投与により有意に抑制され(p<0.01),L-NMMA+L-arginieの前投与で再び増加した. 考案:NPYは脳微小血管に対して2相性の作用を及ぼし,特に早期の拡張作用は内因性のNOを介している可能性が考えられた・
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