研究概要 |
我々はadrenomedullin(ADM)が一過性(投与30秒、1分後)に脳微小血管を拡張することを明らかにしている.今年はADM拮抗薬(ADM_<22-52>)及びADMと類似構造を有するCGRPの拮抗薬(CGRP_<8-37>)を用いこの拡張作用の機序を検討した. 方法:(1)光電法:ネコの左中大脳動脈領域の皮質直下5mmに電球を挿入しその光量変化を直上の頭蓋骨に固定したphotodiodeで連続的に記録し脳血液含量(CBV)に換算.薬剤は同側舌動脈より注入.(2)ADM_<22-52>:ネコ5匹を用い生理食塩水,ADM_<22-52>0.01,0.1,1,10nmol/kgを投与し,30秒,1,5,10,15分で△MABP,△CBVを検討した.(3)ネコ8匹でADM_<22-52>10nmol/kg投与後3分後にADM0.01,0.1nmol/kgを投与し30秒,1分後の△CBVを測定し拮抗薬投与前のCBVと比較.(4)MABP,CBVに影響を与えないCGRP_<8-37>(Brain Res698:95-9,1995)を1nmol/kg投与3分後にADM0.01,0.1nmol/kgを投与し30秒,1分のCBVを比較. 結果:ADM_<22-52>はMABP,CBVに変化を与えなかった.ADM投与時の△CBVは,ADM_<22-52>前投与にょり著明に抑制された.ADM0.01nmol/kgでは30秒,0.457±0.057vol%→0.042±0.057vol%,p<0.05;1分,0.351±0.077vol%→-0.005±0.032vol%,p<0.05,また0.1nmol/kgでは30秒,0.788±0.146vol%→0.100±0.046vol%,p<0.05;1分,0.576±0.079vol%→0.113±0.016vol%,p<0.05であった.一方ADM0.01nmol/kg投与時△CBVは,CGRP_<8-37>前投与により有意に(p<0.05)減少した(30秒,0.535±0.139vol%→0.172±0.049vol%).ADM0.1nmol/kg投与群で約60%の減少を認めた. まとめ:ネコでは,ADMの脳微小血管拡張作用は主にADM特異的受容体を介する.またADM受容体とCGRP受容体は密接な関連を有すると考えられる.
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