研究課題/領域番号 |
08670734
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
水谷 智彦 日本大学, 医学部, 助教授 (00166018)
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研究分担者 |
望月 葉子 日本大学, 医学部, 助手 (80267054)
垣見 重雄 日本大学, 医学部, 助手 (40060165)
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キーワード | アストロサイト / 嗜銀性変化 / Astrocytic fibrillary tangle |
研究概要 |
アルツハイマー病では海馬・大脳皮質の神経細胞に神経原線維変化(neurofibrillary tangle)の生ずることはよく知られているが、アストロサイトにも嗜銀性線維変化(astrocytic fibrillary tangle)(AFT)が認められることが1992年より報告されるようになった。これまで報告されているAFTはいずれも抗タウ抗体陽性であるが、我々は、家族性パーキンソン病家系の2症例にて、これまで報告されていない、タウ陰性のAFTを見い出した。このAFTの疾患特異性・多様性を検討するため、主に我々の科にて剖検された種々の神経疾患の脳切片を、メセナミン銀染色とガリヤス染色で検討し、AFTの認められた症例については、抗タウ抗体を用いた免疫組織化学染色にて染色した。その結果、タウ陽性のAFTは、corticobasal degenerationの1例にみられ、タウ陰性のAFTは、上述の家族性パーキンソン病家系の2症例以外に、精神分裂病患者で脳に老人性変化を伴った1症例の計3例に認められた。家族性パーキンソン病例のAFTをメセナミン銀染色標本より戻し電顕にて検索したが、AFTの構成成分を明確に同定することはできなかった。なお、家族性パーキンソン病家系の症例の2症例では、大脳皮質第2〜3層に神経原線維変化が多発していた。これは進行性核上性麻痺と同様、直径15nmの直細管であったが、従来報告されているものとは異なり、タウ陰性であった。このような新しいAFT・神経原線維変化を有するこの家族性パーキンソン病の症例は、論文として採択され、最近、掲載された。
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