研究分担者 |
辻 久仁子 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
田上 宗芳 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
中嶋 秀人 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
伊藤 巧 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
篠田 恵一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60187367)
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研究概要 |
前年度までの研究において、cAMPおよびaphidicholineによるVSC4.1(脊髄前角細胞株)の分化誘導に関する基礎的研究を行った。この細胞はALS患者IgGを添加することにより″apoptotic cell death″を来すことが知られており、患者血清中に存在する抗電位依存性カルシウムチャンネル(VGCC)抗体と脊髄前角細胞に存在するVGCCとの相互作用がこの細胞死に関係している可能性がある。 VSC4.1細胞のVGCC結合動態を検討するための基礎実験として、この細胞(末分化・分化)の持つVGCCサブタイプを検討する必要がある。現在、VGCCα1サブユニットはA,B,C,D,E,Sの少なくとも6種類のサブタイプがあることが知られているが、本年度の研究では各サブタイプに特異的な抗体を入手し、VSC4.1および、マウス中枢神経組織での各サブタイプの発現分布を確認した。その結果、S型(ALS患者IgGと反応する事が知られている骨格筋型のVGCC)はマウス脳・脊髄には存在しなかった。VSC4.1にはこの骨格筋型(S型)のVGCCは存在しなかったが、その他の中枢神経型のいくつかのVGCCがあることが分かった。 また、これまでALS患者の抗VGCC抗体の検討は日本人ではなされておらず、その抗体の中枢神経型VGCCに対する反応性も明らかでない。本年度の研究の一部として、免疫沈降法と各サブタイプ特異的抗体によるイムノブロット法により、これらの検討を行った。その結果、日本人ALS患者の一部も抗VGCC抗体を持つこと、中枢神経型VGCCにも反応する抗体もあることが判明した。出現頻度やサブタイプの詳細な同定は今後の課題である。
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