研究概要 |
末梢神経老化に関する機序及び病態生理を実験的及び臨床的に検討した。 (1)実験的検討;SDラットの坐骨神経血流量を生後2ヶ月(2M)と24ヶ月(24M)で比較した。2Mでは24Mに比べて末梢神経血流の低下及び血管抵抗の上昇がみられた。血管収縮物質(Endothelin1,angiotenshin2,noradrenalin)に対する血管反応性は24Mは2Mに比べて低下していた。一方、糖尿病状態ではこの血管収縮物質に対する反応性は亢進していた。 (2)臨床的検討;超高齢者長期臥床患者では交感神経α機能および交感神経ムスカリン機能の低下が見られたが、副交感神経障害の程度は軽度であった。しかし、副交感神経障害も合併している患者が一部で見られ、その患者には起立性低血圧症が合併していた。 (3)以上の結果から、末梢神経は加齢に伴い末梢神経血流量は低下し、それに伴い、無髄神経障害が生じていることが考えられた。また、糖尿病状態は老化を促進することが知られているが、末梢神経においてはその関与は少ない可能性が示唆された。
|