研究概要 |
動物実験での電位依存性Naチャネル活性測定より、高頻度磁気刺激(rTMS)および高頻度電気刺激のラット大脳への影響を検討した。 方法は、Spraque-Dawleyラットに無麻酔下で、刺激強度:運動閾値の2.5倍(強刺激)および1.2倍(弱刺激)、刺激頻度:30Hz、刺激回数:1,500回/日、7日間連続のrTMSを行った。 最終刺激直後、刺激終了後14、28日目に断頭し、大脳皮質、海馬を取りだし、シナプトゾーム分画を回収した。高頻度磁気刺激および高頻度電気刺激による大脳皮質の興奮性の変化をVeratridine 100μM刺激でのシナプトゾームへの^<22>Na influxにより検討した。 結果は強磁気刺激群での^<22>Naイオンの取込は、非刺激群と比較して大脳皮質で刺激終了直後は187%、14日後は291%と有意な活性の増強がみられたが、刺激終了後28日目には非刺激群と同じ活性となった。一方、Naチャネルの量的変化はいずれの時期にもみられなかった。弱磁気刺激群でも最終刺激直後に大脳皮質で有意な活性の増強を認めた。 海馬ではいずれの時期にもrTMSによる活性の増強は認めなかった。 けいれん発作を呈した電気刺激では、刺激直後の電位依存性Naチャネル活性は非刺激群と比較して大脳皮質で341%、海馬で238%と著明な増強がみられた。 強磁気刺激では刺激終了後14日目も大脳皮質での電位依存性Naチャネルの活性増強が持続したが、28日目には正常化したことより,rTMSによる大脳での電位依存性Naチャネル活性変化は可逆性であることを明らかにした。 難治性側頭葉てんかん患者では、電位依存性Naチャネルは量的に減少し、活性は正常であり、rTMSの動物実験結果とは異なる。
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