研究概要 |
興奮収縮連関の異常に起因する疾病として悪性高熱(MH)とセントラルコア病(CCD)を取り上げた。これらの疾病の一部はカルシウム遊離チャンネルである骨格筋リアノジン受容体(RYR1)遺伝子のmissense mutationに拠る事が判明している。欧米では本症の病因と推定される8種の変異が報告された。本年はこれらのうち主にCCDに関連するといわれるC487T(Arg163Cys),G1021A(Gly341Arg),C1209G(Ile403Met),C1840T(Arg614Cys),G7301A(Arg2434His)の5種の変異の有無を我々の資料につき検討した。対象はMHを発症したCCD疑診例、CCD、MH回復症例などである。方法はRFLP法、SSCP法、ACRS(amplification-created restriction sites)法を適宜に応用した。結果 これまでの結果をまとめると、C487T、C1021A、G1209A、C1840T、G7301Aの変異は検出されていない。今後は更に既知の3種の変異につき追試を行う。本邦で見られる異常は欧米とは異なる可能性があるため、変異の好発部位につきシークエンス分析をおこなう予定である。MHは異種性であることがほぼ確実であるので、興奮収縮連関にかかわる他の蛋白分子、例えばtriadinにまで対象を拡張する。
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