まず、極微量の心筋サンプルよりGRK mRNAの定量を行うために定量的RT-PCR法を確立した。同手法を用いて、2つの異なる心不全モデル動物(BIO53.58、J2N-K)の心筋におけるGRK2・GRK5 mRNAの発現が、対象動物に比較して有意に亢進している事を明らかにした。この内、GRK2の発現亢進は、心不全患者において報告されており、本研究によって心不全モデル動物においても同様の変化が観察できる事が明らかとなった。一方、GRK5の不全心筋におけ発現亢進の報告は無く、本研究が初めてである。この過程でハムスター心筋GRK2・GRK5 cDNAのクローニングと全塩基配列の決定を行った。また、この様な心不全におけるGRKの変化は、ラットに慢性的にノルエピネフリンを投与する事で再現できた。このことは、心不全時の血中カテコラミン濃度の上昇が、心筋GRK発現亢進の原因となっている事を示唆するものである。
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