研究課題/領域番号 |
08670761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
申 偉秀 東京大学, 保健管理センター, 助手 (10211971)
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研究分担者 |
阪本 英二 理化学研究所, 基礎科学研究員
豊岡 照彦 東京大学, 医学部・(病), 教授 (00146151)
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キーワード | 一酸化窒素合成酵素 / 遺伝子導入 / ウィルスベクター / 心筋 / アポトーシス / β-ガラクトシダーゼ / NOS阻害剤 / ミトコンドリア |
研究概要 |
方法 NOの心臓における直接作用をin vivoで検討するため、Hemagglutinating virus of Japan(HVJ)とリポソームの系を用いて、内皮型一酸化窒素合成酵素(ecNOS)遺伝子をラット心筋へ導入した。 結果 1)マーカー遺伝子として心筋に導入したβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(β-gal)の発現は、導入3日目から検出され、7日目にピークに達し14日目にも少量検出された。HVJ-liposomeを用いない遺伝子発現ベクターのみの導入では効率が10分の1以下であった。光顕所見では、HVJ-liposome法による遺伝子導入は炎症所見をもたらさず、また導入された遺伝子は単一心筋細胞内の介在板を越えて発現せず、同一細胞内で遺伝子導入の有無による変化を形態的に観察が可能であった。 2)ecNOS遺伝子の心筋導入は、予想に反し著しい傷害像を示した。これら心筋の壊死はa)co-transfectしたβ-gal及びecNOSの発現領域と一致しておりb)少量(5μg vs.50μg)では心筋傷害が軽微で、c)NOS阻害剤であるL-NAMEの前投与によって抑制されることからNOによるものと思われた。壊死領域にはマクロファージの浸潤と線維化領域が広範囲を占め、TUNEL法によりアポトーシスを示す細胞も少数みられた。電顕像では筋線維の錯綜配列の間に肥大し変形したミトコンドリアの集族像がみられた。 考察 心筋傷害を緩和すると予想された内皮型一酸化窒素合成酵素遺伝子の局所心筋における高効率遺伝子発現は、予想と異なりアポトーシスを含む心筋細胞傷害を惹起した。少量のNOでは細胞傷害が起こらないことも分かり、NOの濃度、周囲環境によってNOが細胞保護的に働くか否かを検討中である。
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