平成8年度の研究目的はアクチン骨格とATP感受性カリウムチャネルの空間的カップリングを可視化することであった。 1当初はカリウムチャネル修飾薬をラベルすることにより可視化するという間接アプローチを試みていたが、研究途中で千葉大学清野らのグループにより心筋ATP感受性カリウムチャネル遺伝子の同定がなされたことからより直接的アプローチが可能となり予定を前向きに修正することにした。すなわちチャネルに対する抗体を作成しこれをラベルすることにより直接的にチャネル蛋白の可視化する試みである。そこでATP感受性カリウムチャネルを単離し、His-tagのついたベクターに組み込み培養細胞系で発現を電気生理学的に確認する所まで終了した。今後はこのtagを利用して蛋白を抽出し抗体を作成することを試みる。 2またチャネル遺伝子が同定されたので、チャネル蛋白と蛋白-蛋白相互作用する分子を細胞骨格関連蛋白の中からスクリーニングする試みを酵母2ハイブリッド法を用いて開始した。GAL4-DNABDベクターにチャネル蛋白の重要な細胞内領域の2個所をコードするオリゴヌクレオチドを組み込み、市販のGAL4ADベクターに組み込まれたラット心筋cDNAライブラリーをスクリーニングを開始した。6個の陽性クローンが得られ、現在この蛋白が本当にin vivoでチャネル蛋白と相互作用するかを検討中であるとともに、さらに陽性クローンの種類の増すためスクリーニングを続行している。
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