ATP感受性カリウムチャネルはスルフォニルウレア受容体(SUR)と内向き整流カリウムチャネル(Kir6)の複合体からなり、SURは種々の細胞内調節因子のターゲットとなることが報告されている。そこで本年度はチャネル活性調節の場であるSURと細胞骨格関連因子との相互作用を酵母2ハイブリッドシステムを用い行った。SURの2つのヌクレオチド結合ドメイン、NBD1・NBD2、を含むバイト蛋白を作成し、ラット脳cDNAライブラリーをスクリーニングした結果、心臓型SUR(SUR2a)のNBD1と相互作用するクローンが2種類単離された。cDNAの塩基配列を解析した結果一方はCa^<2+>-ATPaseであり他方は未知の蛋白であった。この未知蛋白のtranscriptの組織分布をNortern blottingで検討した結果0.9kbのバンドが全ての組織に認められ特に心臓の最も豊富であった。このcDNAの分子構造の全体像を解明するためラット脳のcDNAライブラリーをスクリーニングし、SURと相互作用する未知の蛋白のcDNAはalternative splicingによる4つのアイソフォームからなりその一部にシトクロームCと高い相同性がある領域を有することが判明した。SUR2aとの相互作用をより詳細に酵母2ハイブリッドシステムで検討するとNBD1に加えNBD1直後にあるGAGのトリヌクレオチド繰り返し配列から成るglutamic acidが8個つながる配列が両者の相互作用に必須であることが判明した。現在このSUR2aのNBD1に結合する蛋白がATP感受性カリウムチャネル機能にどのような役割を果しているか電気生理学的手法を用いて解析中である。
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