我々はこれまでにATP感受性カリウムチャネル(K_<ATP>チャネル)は機能維持に細胞内ATPの存在が必要であり、このATPの作用はアクチン骨格の重合・脱重合の調節に対する作用と多くの点で共通することを明らかにした。そこでK_<ATP>チャネル機能調節に対する細胞骨格の役割を検討した。 アクチン線維の脱重合促進因子はK_<ATP>チャネル活性を消失させ、アクチン安定化因子はチャネル機能維持に作用し、活性の消失したチャネルに重合型アクチンを投与するとチャネル活性が回復した。アアクチン結合蛋白と高い親和性をもって結合しアクチンの脱重合を抑制するPIP_2はK_<ATP>チャネル活性維持に作用した。以上よりアクチン細胞骨格がK_<ATP>チャネル活性の調節に関与することが判明した。 次にこの調節の分子機構を検討するためK_<ATP>チャネルの細胞内調節因子のターゲットとなるスルフォニルウレア受容体(SUR)のヌクレオチド結合ドメインに結合する蛋白を酵母2ハイブリッドシステムを用い探索し未知の蛋白が心臓型SUR2aのNBD1に結合することが判明した。この未知蛋白のmRNAは全ての組織に存在するが心臓で最も豊富であった。ラット脳のcDNAライブラリーから単離した全cDNAはalternative splicingによる5つのアイソフォームからなるがシトクロームCと高い相同性のある領域を有しており細胞内酸化-還元反応がK_<ATP>チャネル機能調節に働くことが示唆された。 現在このSUR2aのNBD1に結合する蛋白がK_<ATP>チャネル機能にどのような役割を果たしているか電気生理学的手法を用いて解析中である。
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