reverse modeのNa/Ca交換機構の選択的阻害薬であるKB-R7943を用いて、Na/Ca交換機構を介するCa流人の役割をCa感受性指示薬indo-1を負荷したratの単離心筋細胞で検討した。KB-R7943は、定常状態での細胞収縮とCa transientを変化させなかった。また、KB-R7943は、筋小胞体のCa貯蔵量、休止後の収縮とCa transientの増大反応、活動電位の初期相を変化させなかった。strophanthidinによりNa/K ATPaseが抑制された状態では、KB-R7943は、陽性変力作用に影響を及ぼすことなしに拡張期のCa濃度を減少させ、自発性Ca律動を抑制した。Na/Ca交換機構を介するCa流入は、正常の興奮-収縮連関や強心配糖体の変力作用には重要な役割をもたないが、細胞内Na濃度が高い状態での催不整脈性のCa過負荷に関与することが示唆された。
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