研究課題/領域番号 |
08670791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楽木 宏実 大阪大学, 医学部, 助手 (20252679)
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研究分担者 |
上田 真喜子 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (10137193)
荻原 俊男 大阪大学, 医学部, 教授 (60107042)
桧垣 實男 大阪大学, 医学部, 講師 (70189744)
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キーワード | アンジオテンシン変換酵素 / アンジオテンシンII / キマ-ゼ / 虚血性心疾患 / 免疫組織化学 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
1.ヒト冠動脈の動脈硬化進展に伴うアンジオテンシンIIの発現分布と、その産生酵素として重要とされるアンジオテンシン変換酵素(ACE)、キマ-ゼの発現分布を免疫組織学的に比較検討した。病変を病理学的に正常冠動脈(DIT)、hypercellular lesion(HC)、粥腫性プラーク(AP)、繊維硬化性プラーク(FSP)に分類した。DITでは、内皮細胞にアンジオテンシンIIとACEの発現を認めた。HCとAPでは、病変部の平滑筋細胞やマクロファージにアンジオテンシンIIとACEの高度発現を認めた。FSPにおいては、内膜内のアンジオテンシンIIとACE発現はほとんどみられなかった。一方、キマ-ゼは外膜および動脈硬化巣に浸潤した肥満細胞に認められた。これらの結果より、ヒト冠動脈硬化進展と局所アンジオテンシンII産生においてACEが重要な役割を果たしていることが示唆された。キマ-ゼは、少なくとも内膜病変部でのアンジオテンシンII産生にはあまり関与していないと考えられた。 2.急性心筋梗塞のプラーク破裂部位での繊維性キャップおよびlipid-core周辺内膜の主としてマクロファージにACE、及びアンジオテンシンIIの発現を認め、これらが冠動脈のトーヌス亢進により繊維性キャップの菲薄・脆弱な部位でのプラーク破裂に関与することを示唆した。 3.冠動脈病変部で産生されるアンジオテンシンIIの役割を明らかにするためにアンジオテンシンIIタイプ1及びタイプ2受容体に対するペプチド抗体を作成し、抗体がそれぞれの受容体蛋白に特異的であることをWestern blotting法などにより明らかにした。 4.動脈硬化巣でのACE発現が、病変進展に関与している可能性から、レニン・アンジオテンシン系の遺伝子多型と動脈硬化性疾患の関連を検討し、ACE遺伝子多型と無症候性心筋虚血との関連などを認めた。
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