研究概要 |
内分泌器官はホルモンを分泌するために多くの洞様血管が発達している。これは内分泌細胞から血管新生因子(AGF)が産生される可能性を示唆する。そこで下垂体前葉に注目してここから産生されるAGFについて研究し本年度以下の知見を得た。 1)ウシ内皮細胞とウシ肺由来の線維芽細胞を混合し、これに下垂体粗抽出物を作用させると網目状の血管様小管が出来るがこの際、小管の外側にラミニンが認められたことは内皮細胞の局性が正常に戻ったものと思われる。したがって血管内皮細胞の局性は血管の外側に存在する線維芽細胞が決めている可能性が強く示唆された。 2)成長ホルモンは下垂体粗抽出物の血管新生作用を促進する。 3)培養内皮細胞の網目状血管様小管形成を示標として下垂体粗抽出物の各分画を調べるとAGFの分子量は75,000〜85,000の間にあることが判明した。現在この新しい血管新生因子のアミノ酸配列を決定するため、RPーHPLC精製フラクションをそのままサンプルとしてN末端アミノ酸配列の解析を行っている。次に本因子を還元アルキル化後、酵素消化し、得られたペプチド断片をHPLCで精製し、シークエンシングを行い内部アミノ酸配列を決定する予定である。
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