雑種成犬の左冠動脈回旋枝を45分閉塞し、45分再潅流した後、心筋のサルコレンマを分離し、虚血領域と非虚血領域の心内膜側および心外膜側のβ受容体とアデニル酸シクラーゼを測定した。その結果、β受容体は虚血領域の心内膜側および心外膜側ともに有意に(p<0.05)低下していた(心内膜側:45±5vs70±7、心外膜側:50±5vs73±8fmol/mg)。一方、アデニル酸シクラーゼは虚血領域の心内膜側のみで有意に(p<0.05)低下していた(心内膜側:45±9vs73±15、心外膜側:74±16vs82±21pmol cAMP/mg/min)。このように再潅流心筋におけるβ受容体細胞内情報伝達経路の障害の程度は心内膜側と心外膜側で異なっていた。今後、これらの生化学的な変化が実際の生理学的変化と相関するかどうかを検討するため以下の実験を行う予定である。冠動脈回旋枝を45分閉塞し、45分再潅流した後、β受容体刺激薬であるIsoproterenolあるいはアデニル酸シクラーゼ刺激薬であるフォルスコリンを投与し、クリスタルを用いて局所心筋壁運動を測定する。
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