研究課題
基盤研究(C)
ヒト大動脈由来の培養血管内皮細胞(HAEC)よりRNAを抽出し、ヒト・アドレノメデュリン(AM)のcDNAをプローブとしてノザン・ブロット解析を行なった結果、HAECにおいてAMのmRNAが発現していることが確認された。次にAMcDNAの第1エキソンにおいて3'→5'方向に24baseのプライマーを作成し、HAECのRNAをテンプレートとしたプライマー伸長法によりAM遺伝子の転写開始部位を決定した。AM遺伝子にはTATA boxの下流21baseおよび25baseの位置に2箇所の転写開始部位が認められた。そこで、この転写開始部位より上流1534baseのプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだプラスミド・ベクターを作成し、リポゾーム法にてHAECに導入した。発現したルシフェラーゼ活性による蛍光を測定し、同時に遺伝子導入したβ-ガラクトシダーゼの発現活性にて補正して、AM遺伝子上流のプロモーター活性を定量した。AM遺伝子のプロモーター領域1534baseは、SV40ウィルスのプロモーターを有する対照ベクターに比して1/10程度の発現活性を示した。この1534baseのプロモーター領域DNAを5'側よりエキソヌクレアーゼで消化することにより、あるいは新たにPCR産物を組み込むことにより漸次鎖長を短くしてプロモーター活性の推移を検討した。AM遺伝子上流DNAのプロモーター活性は200baseまでは変わりがなかったが、200base以下の鎖長ではプロモーター活性が減少し、TATA boxを失った鎖長ではほとんど発現活性が認められなかった。以上、ヒト血管内皮細胞においてAM遺伝子の発現を確認し、その転写開始部位を決定した。AM遺伝子の発現にはその5'上流200baseの中に存在するcis elementが関与し、RNAポリメラーゼのTATA boxへの結合が必須であると考えられる。
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