研究課題/領域番号 |
08670841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
上松 正朗 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (00270728)
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研究分担者 |
宮武 邦夫 国立循環器病センター研究所, 内科心臓部門, 部長
山岸 正和 国立循環器病センター研究所, 内科心臓部門, 医長
松田 尚雄 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (30229489)
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キーワード | echocardiography / Doppler / myocardium / velocity / cardiac function / diastole / coronary disease / ultrasound |
研究概要 |
本研究では近年開発された超音波組織ドプラ法を用いて、左室の局所心筋における心内膜心外膜間の速度プロファイルから、心筋の壁厚増加および壁厚減少の速さを評価し得る新しい心機能指標(心筋速度勾配)を求めることにより、左室全体のみならず左室局所の収縮および拡張機能を評価し、心筋の局所異常をより鋭敏に評価し得る、臨床応用可能な方法を確立することを目的とする。本年度はまず組織ドプラ法が施行可能でかつ高速サンプリングレートを持つ超音波診断装置から心筋速度画像をコンピュータに高速転送可能な画像解析システムを構築した。当初の研究計画通り、本システムにおいてソフトウエアを開発し、動物実験(イヌ)において新しい心筋速度勾配指標が従来の観血的拡張期心機能指標といかなる関係にあるかを解明するための基礎的実験が進行中である。さらに平行して本システムを用いた臨床研究による成果が得られつつある。臨床研究においては、右室容量負荷により左室全体の動きが増加しているものの左室収縮は正常に保たれることが知られている心房中隔欠損症例において心筋速度勾配を計測し、心筋速度勾配が心臓全体の動きの影響を受けない局所心機能の指標であることを明らかにした(Uematsu,M.et al.Am J Cardiol 1997;79:237-238)。さらに、左室収縮および弛緩障害が知られている拡張型心筋症において拡張期心筋速度勾配を計測し、拡張期における心筋速度勾配は左室流入血流が偽正常化を呈する群でも疾患群で有意に低下し、本法によれば左室流入血流の偽正常化の存在下でも左室拡張機能異常を判別し得ることを明らかにした(1996年心臓病学会)。
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