研究概要 |
平成8年度にRett症候群に合併した睡眠障害2例においてメラトニン(MT)分泌障害がある事を報告した。非24時間睡眠覚醒障害(Non-24)1例で患児の入眠時間に一致して血中MTが上昇していた。一方、中途覚醒型の睡眠障害1例では、夜間の血中MT分泌上昇が不良であった。この2例にメラトニンを2年間経口投与し有効性を維持し明らかな副作用がないことを報告した(22nd international international congress of pediatrics,1999.Amsterdam.Brain&Development 1999;21:59-62.)。 平成9年度に中枢神経障害児の睡眠覚醒リズム障害とMTの尿中代謝産物であるサルファトキシメラトニン(aMT6s)の日内リズムの関連を報告した(脳と発達1997;29:S200)。すなわちnon-24睡眠覚醒リズム障害を呈する児においては尿中aMT6sは明らかなピークを認めず低値、睡眠相後退症候群ではピークが早朝にシフト、特定不能の睡眠障害では尿中aMT6sは日内リズムは認められたが濃度は睡眠障害のない病院コントロール児に比べて低値であった。その後、旭川医科大学小児科および旭川療育センター小児科に通院中の睡眠障害を呈した14例において、メラトニンの経口投与の効果を検討し報告した(脳と発達1998;30:S221)。メラトニンを3〜6mg投与し、その効果を睡眠導入効果、睡眠維持効果、日中の活動性の改善の3項目で評価し、改善項目3項目が著効、2項目が有効、1項目がやや有効とし判定した。その結果、著効3例(21%)、有効4例(29%)、やや有効5例(36%)、無効2例(14%)であった。副作用は、明らかなものはなかった。いまだ少数例ではあるが、メラトニンは中枢神経障害をもつ児に合併する睡眠障害に対して有効かつ安全であった。
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