研究課題/領域番号 |
08670852
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
峯岸 正好 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (20211592)
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研究分担者 |
土屋 滋 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (30124605)
今野 多助 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00004846)
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キーワード | 神経芽細胞腫 / 細胞株 / 細胞接着分子 / インテグリン / シグナル伝達 / アポトーシス / インターフェロンα |
研究概要 |
平成9年度の研究においては以下のことが明かとなった。すなわち、細胞基質間接着依存性に増殖する神経芽細胞腫株N-KASは、1)ラミニン、コラーゲンタイプIV、フィブロネクチンをコートしたディッシュ上においてはディッシュに付着して増殖したが、ポリ-L-リジンをコートしたディッシュ上ではその増殖は認められない、2)細胞外マトリックスをコートしたディッシュを用いても、培養液中に抗CD29(β1-インテグリン)抗体(4B4)を添加すると、N-KAS細胞はディッシュには付着せず、その増殖も抑制された。これらの結果よりN-KAS細胞における細胞基質間接着にはβ1-インテグリンが介在し、かつN-KAS細胞の増殖を支持することが確認された。次にこのβ1-インテグリンを介した細胞基質間接着が生化学的なシグナルを細胞内に伝達するかどうかを検討した。その結果、ラミニン、コラーゲンタイプIVをコートしたディッシュ上において増殖するN-KAS細胞においては、β1-インテグリンを介したシグナル伝達系におけるアダプター分子p130Casのチロシンリン酸化の増強が認められた。そこでP130Casのチロシンリン酸化キナーゼの一つとされているfocal adhesion kinase(FAK)の関与について検討したところ、ウェスタンブロット法による解析上N-KAS細胞においてはFAKの発現が認められなかった。従ってFAKファミリーチロシンキナーゼとして神経細胞にも発現しているPyk2(CAKβ/RAFTK)がN-KAS細胞におけるβ1-インテグリンを介したシグナル伝達系においてチロシンンキナーゼとして機能しているかどうかの検討が今後の課題である。 次に細胞基質間接着を行わず浮遊状態にあるN-KAS細胞について、FITC標識Annexin Vとヨウ化プロピジウムを組み合わせた二重染色によるフローサイトメトリー法により解析した。細胞外マトリックス上で増殖するN-KAS細胞においてはFITC標識Annexin Vは陰性であるのに対し、浮遊状態にあるN-KAS細胞では弱陽性を示し、アポトーシスの初期段階にあることが示唆された。現在細胞基質間接着によるBcl-2発現の上昇,Baxの発現低下の有無について検討中である。
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