出生に伴い胎盤を介した糖ならびにカルシウムの輸送が途絶する。出産前後の糖ならびにカルシウムの恒常性の維持は破綻を来す理由である。今研究の主目的は、胎児の血中カルシウム調節機序が他の時期と異なる事を明らかにすることである。出生後のカルシウムの恒常性は副甲状腺・腎臓で発現される7回幕貫通型G蛋白共訳型受容体による厳格なカルシウム濃度の測定、結果としての副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンDの動員により行われる。本研究の当初の作業仮説は退治期のカルシウム恒常性は胎盤で発現される単膜貫通型カルシウム受容体、出生後は副甲状腺7回膜貫通型受容体、液性因子は退治期副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)出生後PTHというものであった。この点に関しては、胎盤からtrophoblastの初代培養を得この細胞で単膜貫通型カルシウム受容体ならびにPTHrPが共に発現している事を確認した。この細胞では副甲状腺で発現されている7回膜貫通型のカルシウム受容体は確認できなかったが、新生児低カルシウム血症で発症した家族性副甲状腺機能低下症の解析からカルシウム受容体自律機能亢進型の異常で新生児低カルシウム血症が発症する事が明らかとなった。Jansen骨幹端異形成症候群のPTH/PTHrP受容体の自律機能亢進型の変異の同定と症例の解析から、PTH/PTHuP受容体発現の出生前後の発達に伴う変動がCaの恒常性に重要である事が判明した。RT-PCRサザン解析でも確認された。さらにこれらのあたらいい知見をもとに今後胎盤カルシウム受容体ならびにPTHrPの検討をすすめ本研究の最終論文とする予定である。
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