ヒトアレルギー疾患においてマスト細胞は中心的な役割を果しているが、その活性化には表面上に発現したFcεRIが不可欠である。我々は、臍帯血CD34陽性血液幹細胞から分化させて得たヒトマスト細胞の解析を行った結果、この培養マスト細胞はFcεRI発現が不良であることを見出した。そこでマスト細胞のFcεRIの発現には何らかの因子が必要であると考え、様々なサイトカインを検索した結果、IL-4が培養ヒトマスト細胞のFcεRI発現を誘導することを見出した。また、mRNAの検索により、このIL-4による発現誘導はFcεRIα鎖の発現が高まることによることも明らかにした。さらに、IL-4添加したマスト細胞は、FcεRI架橋により著明なヒスタミン放出を起こすことから、IL-4で誘導されたFcεRIは、機能的であることも示した。なお、IL-4はマスト細胞の接着因子を増強させ凝集を引き起こすこと、増殖も誘導すること、キマ-ゼの発現を増強すること、電子顕微鏡解析により形態的にも分化が促進することも見出した。 以上、マスト細胞の活性化および分化にIL-4が重要な役割を果していることを解明した。
|