研究概要 |
活性酸素のアポトーシスにあける重要性を活性酸素の産生欠如が主病因である慢性肉芽腫症(CGD)患児由来細胞を用い検討し,Fas誘導性アポトーシスにおける活性酸素の意義を検討した。正常ヒト由来細胞は抗Fas抗体の添加によりアポトーシス誘導を受けるのに対し、CGD由来細胞では僅かであった。カタラーゼを添加することにより産生されるH_2O_2を分解すると濃度依存性に抗Fas抗体のアポトーシス増強作用は抑制され,一方、CGD由来細胞をH_2O_2存在下で培養するとFas誘導性アポトーシスの増強が認められた. FasあるいはFasリガンドの遺伝子変異による自己免疫疾患モデルlpr gldマウスと類似した肝脾腫リンパ節腫大,汎血球減少,溶血性貧血,高γグロブリン血症等の臨床像を呈するヒト自己免疫性リンパ球増殖症候群の兄妹例においてFas誘導性アポトーシスを解析したところ,患児由来細胞においては全くFas誘導性アポトーシスが認められなかった.Western blot解析にて異常Fas抗原分子が同定され,遺伝子解析の結果,Fas intron7におけるT→C置換により患児由来のFas抗原はdeath domainを含む細胞内部分を欠如すること,さらにこの遺伝子異常は母親由来であることが判明した.患児及び母親の末梢血においてTCRαβ+CD4-CD8-T細胞の増加が認められた.Fas抗原を介したアポトーシスの生体内での免疫学的恒常性における重要性が示唆された.
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