1 FBPase欠損症およびG6Pase欠損症(糖原病1型)によって引き起こされる可能性のある乳児突然死症候群についてその予防をはかるための手段として、遺伝子分析による保因者スクリーニングの可能性について基礎的検討を行ってきた。 2 第一団として一般健常集団223名について、日本人FBPase欠損症で高頻度でみられるエクソン7のG挿入変異の有無について検討した。PCR後にSSCP(single strand conformation polymorphism)法にて分析した。ところが約10%のサンプルにおいて、正常サンプルのバンドとは異なる挙動をしめすバンドが認められた。このバンドは、エクソン7のG挿入変異のサンプルのバンドと良く似た挙動を示した。SSCP法の分析条件等を変更後も、約10%のサンプルにおいて見られた正常サンプルのバンドとは異なるこのバンドと、G挿入変異のサンプルのバンドとの分離は困難であった。この約10%のサンプルについて直接塩基配列決定法にて塩基配列を決定した。その結果この約10%のサンプルについては、エクソン7のG挿入変異直前のG塩基がA塩基に変異していることが判明した。この遺伝子変異によりアミノ酸には変化はない。正常遺伝子多型と思われる。以上よりSSCP法による変異の検出は困難と思われる。マススクリーニングに適した検出方法としてオリゴヌクレオチド-ハイブリゼエ-シオン(ASO)法でのスクリーニングを検討している。 3 新たな日本人FBPase欠損症での遺伝子変異の解析: あらたに4名のFBPase欠損症患者で遺伝子変異を同定した。その内の2名はhomozygoteの、他の2名はheterozygotoのいずれもG挿入変異であった。 以上のような成績を参考にして、当初予定の遺伝子変異の頻度を決定予定である。
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