研究概要 |
研究目的 遺伝性ムコ多糖代謝異常症の早期診断、予後の予測、予防(出生前診断、保因者診断)と効果効率の高い治療法開発のための基礎研究として、本症の分子病態を解析する。 研究結果 1.MPS症II型、IV型の遺伝子変異解析:MPSII型(Hunter病)については日本人患者71例を対象として解析を進めてきたが、新たに12種類の変異を加え、これまでに25種類43例の変異を同定し、日本人Hunter病の変異分布と臨床型との関連性を確認した。MPSIVA型については世界20カ国より180症例の検体を集めGALNS遺伝子解析を進め、これまでに90種類以上の変異を同定した。そして先に明らかにしたcommon mutation(日本人におけるcommon double gene deletion、欧米人におけるI113F変異、人種を超えたR386C変異)に加えて、コロンビア人におけるG301C変異、Irish/Britishに見られるI113Fがオーストラリアにおいても頻発していること、フィンランドのA291T/D60N変異が確認され、患者の遺伝的背景や人類学的背景を検討する上で有用な結果が得られた。 2.マウスGALNS遺伝子の構造解析:λ Fixll mouse MSV129ライブラリーを用いてクローニングし、昨年度はプロモーター領域とexon 1〜7を含む複数のクローンを得ていたが、今年度はexon7〜11,exon12〜14を含む数個のクローンを単離し、全エクソンがカバーされていることを確認した。現在クローンのcharacterization解析を進めつつノックアウトマウスを産生するために、マウスES細胞へのターゲティングベクターの構築に取り掛かっている。
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