急性脳炎の遺伝子診断ついて平成8年度については以下の研究結果を得た。 (1)愛知県において平成8年1月〜12月における15才以下の急性脳炎・脳症の発症数・病因などについてアンケートによる実態調査を実施した。詳細は現在解析中である。 (2)単純ヘルペス脳炎診断には、急性期髄液を用いたPCR法により、HSVDNAを検出することが有用であるが、精度の統一化に問題があった。そこで米国アラバマ大学小児科と共同研究を行ない、相互の検体をブラインドで測定し、その信頼性の確認を行なった。一致率は96%ときわめて良好であった。 (3)近年、冬期のインフルエンザ流行中に重篤な脳炎・脳症をもたす症例が多い。そこでインフルエンザウイルス検出用のRT-PCR法を確立し、髄液・血清・咽頭ぬぐい液などの検体中のウイルスゲノムを測定した。結果は、まだ最初の段階ではあるが、血清中のウイルスRNAが陽性で病因診断に有用となる可能性を示した。 以上が平成8年度得られた主な成果である。
|