平成10年度 急性脳炎の遺伝子診断についての研究成果は以下のとおりである。 1. 単純ヘルペス脳炎 PCR法による遺伝子診断は全国的に普及しつつある。そのPCR法で確定診断した小児のヘルペス脳炎の臨床像を明らかにした。(論文発表) また、小児の単純ヘルペス脳炎でしばしば(25%)みられる再発の要因について、発症早期の治療(薬用量など)が大きく関与していることを明らかにした。(論文準備中) 2. インフルエンザ脳炎・脳症 1997-98年のおよび1998-99年のシーズンにおいて重症のインフルエンザ脳症が多発し、死亡例も多くでた。この疫学調査を行った。また、PCR法を確立し、(1)重症例ではウイルス血症が存在すること(2)髄液中のウイルスゲノムの検出頻度が高くなく、脳内でのウイルスの増殖は少ないことを示した。(3)血清および髄液中の各種サイトカイン濃度を測定し、とくにIL-6が病態に強く関与していることを明らかにした。(論文印刷中)
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