1)骨髄単核球におけるモノソミ-7陽性細胞の変動:再生不良性貧血よりMDSへ移行した4症例の再生不良性貧血初期はモノソミ-7は陰性であった。しかし、MDSに進展するに伴い、骨髄での陽性率は上昇した。染色体検査で100%monosomy 7を有するAML症例では98%の骨髄細胞がモノソミ-7陽性を示した。 2)コロニーにおけるモノソミ-7陽性細胞の変動:染色体検査で100%monosomy 7を有するAMLの骨髄細胞から形成されたコロニーでは、1シグナル細胞率は94.1〜94.1%(平均96.7%)であった。FISH法では偽陰性が生じることより、このAMLの骨髄直接法およびコロニー細胞のモノソミ-7陽性率は100%と考えられた。ところが、再生不良性貧血よりMDSへ移行した3症例の骨髄血でモノソミ-7を認めた検体から形成されたコロニーでは、コロニー内1シグナル細胞率は11.4〜97.2%であり、同一コロニー内にモノソミ-7陽性細胞と正常核型細胞が種々の割合で混在することが見いだされた。 メチルセルロース半固形培地に細胞を埋め込んで培養する方法は、1個の細胞から分裂、増殖し、1個のコロニーを形成すると言われている。従って、正常核型細胞とモノソミ-7陽性細胞が同時に存在したコロニーの血液前駆細胞は元来2個の7番染色体を有しているものの、分化・増殖する過程でどちらか一方の7番染色体が欠損し、モノソミ-7細胞を生じると考えられた。また、混在したコロニーが複数個形成されたことより、MDS初期ではモノソミ-7を獲得した血液前駆細胞だけからモノソミ-7細胞が生じるのではなく、複数の正常核型細胞に7番染色体の不安定性が存在し、それらの細胞からモノソミ-7細胞が生じたと考えられた。
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