研究課題/領域番号 |
08670894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
香美 祥二 徳島大学, 医学部, 助手 (00224337)
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研究分担者 |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50144978)
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
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キーワード | モノクロナール抗体 / 1F3 / インテグリン / 腎炎進展因子 |
研究概要 |
進行性腎炎に共通する腎細胞反応に関連した抗原分子(腎炎進展因子)を同定する為に、ヒト糸球体細胞で免疫したBALB/Cマウスより腎炎組織と特異的に反応するモノクロナール抗体(MAb)作製を試み以下の結果を得た。 1)MAb、1F3の作製 ヒト糸球体細胞で免疫したBALB/Cマウスより、蛍光抗体法(1F)にて進行する腎炎に見られる半月体形成細胞や尿細管萎縮細胞と特異的に反応するクローン1F3を選別した。1F3が認識する抗原分子(1F3分子)は、正常腎では糸球体上皮とボウマン嚢上皮の細胞膜表面に存在し、他の腎構成成分や諸臓器には発現は見られず極めて臓器・組織特異性の高い分子であった。 2)腎炎における1F3分子の免疫組織学的変化の検討 種々の小児腎炎組織を用い、1Fや免疫電顕法にて1F3分子の存在様式や量的変化を詳細に検討した結果、重症の腎炎に見られる線維性半月体細胞や尿細管萎縮細胞に1F3分子が強く発現していることが観察された。特に尿細管萎縮の程度と尿細管1F3分子の発現の程度は、統計学的に密接に関連していた(P<0.001)。 3)1F3分子の生化学的・生物学的特徴の検討 ヒト単離糸球体を^<35>S-methionineにて代謝標識した後可溶化し1F3で免疫沈降法を行ったところ、1F3分子は分子量125KDaのシングルポリペプチド(還元下条件)であることが判明した。ついで培養ヒト糸球体細胞の可溶化上清より1F3結合immuno-affinity columnにてその1F3分子を精製し、これを膜フィルターに転写し気相シークエンサーにてN末端アミノ酸配列を分析した。19個のアミノ酸配列が得られ既知の分子とのホモロジー検索の結果、1F3分子はヒトインテグリンα3サブユニットのN末端アミノ酸配列に酷似していた。今後、培養ヒト糸球体細胞よりcDNAライブラリーを作製し、1F3分子のアミノ酸配列より求めたオリゴヌクレオチドや1F3抗体をプローブとして1F3分子を規定する全cDNAクローニングを行なうと共に、尿中1F3分子の排泄量を1F3抗体を用いたELISA法にて測定し腎病変との関係を検討する予定である。
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