研究課題/領域番号 |
08670900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉永 正夫 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10145469)
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研究分担者 |
野村 裕一 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90237884)
奥 章三 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80224145)
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キーワード | 溶レン菌 / M蛋白 / ペプチド / ワクチン / 口腔 / 鼻咽腔免疫 |
研究概要 |
平成8年度は、健康小児および成人における唾液中IgA抗体、血清中IgG+抗体の測定を行った。測定にはELISA法を用いた。抗原として溶レン菌6型M蛋白のアミノ酸配列より合成された20種のペプチド(約20個のアミノ酸からなる)を用いた。各ペプチドは互いに重なるように合成した。この研究で下記のような新たな知見を得た。 1、抗体の加齢による変化 唾液中IgA抗体価、血清中IgG抗体価ともに、思春期までは加齢と共に増加し、成人以降は次第に減少していた。 2、唾液中IgA抗体のエピトープ M蛋白の三次元構造はほぼαヘリックスを示すが、M蛋白C領域にはαヘリックス内に2個のターンを示す部位(SRKGLとSRQGL)が挿入されている。唾液中IgA抗体はこの2個のターンの部位の内の1個のターンの部位(SRKGL)だけを認識していており、このアミノ酸配列中のKをQにかえたもう一つのターンの部位(SRQGL)を認識していなかった。すなわち、唾液中IgA抗体のエピトープにはアミノ酸Kが重要な意味をもつことがわかった。 3、血清中IgG抗体のエピトープ 血清中IgG抗体は上記の2個のターンと近傍のαヘリックス部をエピトープとしていた。またIgG抗体ではKとQの置換は問題なく、いずれをも認識可能であった。 溶レン菌感染症は成人になると、極端にその頻度が減少するが、M蛋白C領域に対する抗体でこの現象は説明でき、C領域中の上記のエピトープを用いることでワクチン開発が可能と考えられた。
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