研究課題/領域番号 |
08670901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀樹 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50106316)
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研究分担者 |
井上 達 厚生省国立衛生試験所, 安全生物試験研究センター, 部長 (50100110)
船曳 哲典 横浜市立大学, 医学部, 助手 (20264616)
生田 孝一郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80159590)
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キーワード | p53 / Hematopoletic progenitor / TGF-β |
研究概要 |
平成8年度の実験結果から明らかになったことは以下のとおりである。 1)p53欠失マウス骨髄の造血幹細胞・前駆細胞数はやや増加傾向にあるが、末梢血球数に統計的有意差は見られなかった。 2)5FU投与後の骨髄HPP-CFC数はp53欠失マウスで著明に増加していた。 3)p53欠失マウスでは、5FU投与後の骨髄前駆細胞の回復が急速であった。 4)TGFβは、正常マウス骨髄前駆細胞のうち巨核球系(CFU-Mk)の増殖のみを、また、5FU投与後の未分化前駆細胞HPP-CFCの増殖を著明に抑制した。 5)p53欠失マウス骨髄のCFU-Mkの増殖は野性型と同様TGFβに抑制されたが、5FU投与後のHPP-CFCに対する増殖抑制は25-66%と部分的にしか認められなかった。 これらの結果から、造血細胞の増殖調節においてもp53が関与していること、また造血前駆細胞の少なくともある分画に対しては、TGFβが負の増殖調節因子として機能しているものと思われる。さらにこれらの細胞分画では、TGFβによる抑制シグナル伝達にp53が関与している可能性が示唆された。研究遂行上生じた学術上の問題点は、我々の方法ではHPP-CFCの測定には5FUの前処置を行わざるをえず、p53欠失マウスと野性型のHPP-CFCのTGFβに対する反応性の相違が、先に述べたようなTGFβによる抑制シグナル伝達経路によるのか、あるいは薬剤に対する感受性や回復時の増殖動態の違いによるのかが詰め切れないことである。次年度以降の検討でこれらの問題点を克服して行きたい。
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