1)SKM-1細胞増殖におよぼすTGF-βとGM-CSFの影響:骨髄異形成症候群由来のSKM-1細胞(2X10^4)を96穴プレート、10%FCS RPMI1640培養液中で造血因子非存在下、TGF-β存在下(10ng-50ng/ml)、GM-CSF(20ng/ml)存在下、TGF-βとGM-CSFの同時存在下で1-5日間培養し[^3H]Thymidineの取り込みを測定し細胞増殖を検討した。SKM-1細胞は造血因子の非存在下で増殖するとともにGM-CSF(20ng/ml)により軽度の増殖促進が観察された。一方、SKM-1細胞はTGF-βにより培養2日目より濃度依存性に細胞増殖が抑制され、その抑制効果はTGF-β 25ng/mlで最大に達した。しかし、このSKM-1細胞に対するTGF-βの抑制効果はGM-CSF(20ng/ml)を同時に存在することにより全く認められなくなった。つまり、SKM-1細胞において正の造血因子(GM-CSF)と負の造血因子(TGF-β)の相互作用が観察された。 2)Propidium Iodide(PI)法による細胞周期の解析:1)で観察された正の造血因子(GM-CSF)と負の造血因子(TGF-β)の相互作用を細胞周期の観点から解析するために、各種の培養条件下から回収した1X10^6のSKM-1細胞を70%エタノールで固定後、PBSで洗浄し、RNAseを添加後P I 染色してflow cytometryで細胞周期の解析を行った。その結果、SKM-1細胞はTGF-βの添加によりG1休止することが明らかとなった。さらに、GM-CSFを同時添加することによりTGF-βの存在下でもSKM-1細胞のG1休止は認められなかった。 従って、GM-CSFによるTGF-βのSKM-1細胞に対する増殖抑制の解除はGM-CSFがTGF-βのG1休止作用を抑制することによるものと考えられた。
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