研究概要 |
平成8、9年度は、ヒト新生児モデルとして新生仔豚を用い、1)近赤外分光測定装置(Near Infrared Spectroscopy:NIRS)によって新生仔豚の脳内酸化、還元ヘモグロビン(Hb)、cytochrome oxidase(Cytaa3)を非侵襲的、連続的にモニタリング可能か、2)ヒト新生児の動脈管開存症の治療に用いられるインドメサシン(INDO)静注と過換気下での脳循環に及ぼす影響について新生仔豚を用いて検討した。その結果、1)NIRSにより新生仔豚の酸化Hb、還元Hb,Cytaa3のモニタリングは可能であり、2)INDOによる作用として、総Hb、酸化Hbの持続的な低下を認め、INDOによる脳動脈収縮による脳血流低下によると考えられた。Cytaa3は不変であった。INDOが脳虚血をおこしうること、NIRSで脳虚血のモニタリングが可能であることが示唆された。INDO投与群で過換気を行った時、過換気のみを行ったコントロールに比べて総Hbが有意に低下することはなく、INDOと過換気が重なると虚血が重症化するという仮説は証明できなかった。平成10年度は臨床応用として、新生児に脳虚血をもたらす可能性がある交換輸血、小児で過換気をともない脳障害を伴うRett症候群で検討を加え報告した。交換輸血後に脳虚血性病変を残した例では、他の例とは異なった交換輸血中のNIRSパターンを呈したこと、Rett症候群の覚醒過呼吸中は酸化Hb、総Hbの著明な低下を、睡眠中は改善することをNIRSでモニタリング可能であることを報告した。
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