研究課題/領域番号 |
08670931
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研究機関 | 広島県立保健福祉短期大学 |
研究代表者 |
富田 豊 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 教授 (00127523)
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研究分担者 |
宮口 英樹 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 助手 (00290552)
古山 千佳子 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 助手 (90280205)
伊藤 信寿 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 助手 (00280206)
近藤 敏 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 助教授 (70280203)
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キーワード | 重症心身障害 / 機能障害 / 能力障害 / ADL / リハビリテーション医学 / 小児 |
研究概要 |
重症心身障害児・者の病因、機能障害、そしてADLの特徴と相互関係を把握し、WHO(1980)が提唱する障害モデルを参考として、リハビリテーションの長期目標を考えるに資する成果を得ることを目的とした。対象は滋賀県下の一重症心身障害児施設に入所している92名の入園者であり、10年で括った年代ごとの群を比較検討した。結果として、まず10歳代はそれより年長の年齢群と異なり、機能障害と能力障害の両面で明らかに重度であった。これは近年の周産期医療の進歩に伴う疾病構造の変化を反映していると考えられる。20歳代以降はADLが徐々に低下するだけでなく、ADLの各項目の相互関係が希薄になることが統計的に証明された。また20歳を超えて一部に骨格変形の進行を認め、背景に自然歴の加齢の要素以外に、こういった二次障害の影響が直接的・間接的に反映していると考えられた。座位保持能力を目的変数とした多変量解析では、10歳代では乳幼児期の機能障害と相関を示すが、20歳より年長では関連が希薄となった。つまり10歳代では生得的能力の影響がまだ強く示されるが、20歳代以降ではその影響が少なくなった。座位保持能力をADLとの関係で多変量解析をおこなうと、生得的運動・精神能力だけでなく学習の要素が示唆された。結論として、重症心身障害児・者では、若い年代は生得的能力の全般的な開花をめざし、20歳を過ぎた年代では二次障害と加齢の対策に重点を移した長期的課題を計画する必要性がある。なお現在、対象をより多くとって、この仮説の検証を試みている。
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