1)アポトーシスを促進的に制御するBak遺伝子産物を特異的に認識する合成ペプチド抗体を作製し、ウエスタンブロット、免疫組織染色を行った。昨年度はヒト中枢神経系では胎児期、老年期にBakがupregulateされることを示した。本年度はDown症候群ではこの過程が促進され、Alzheimer原線維変化の出現に先だって神経細胞がBak陽性となることを発見した。 2)結節性硬化症の原因遺伝子TSC2の産物tuberinに対する合成ペプチド抗体を作製した。昨年度はtuberin蛋白が正常脳で発現していること、発達とともに著増することを証明した。結節性硬化症の脳(皮質結節、巨細胞腫瘍、結節以外の皮質)ではその含量が激減し、腎臓・心臓の過誤腫でtuberin免疫反応性が低下することを観察した。本年度は焦点性皮質異形成の病変においてtuberinが正常に発現していることを明らかにし、結節性硬化症との質的差異を示した。 3)Miller-Dieker 症候群(滑脳症症候群)の原因遺伝子LIS1の産物(PAFアセチルハイドロラーゼ45kサブユニット)に対する特異抗体を作製した。昨年度は本蛋白が同症候群において疾患特異的な発現低下を示すことを証明した。本年度は、ヒト胎児脳を検索し、脳室壁の神経上皮と最表層のCajal-Retzius細胞における強い発現を観察した。
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