研究概要 |
1.ヒトビタミンD受容体(VDR)発現ベクターに、PCR法を用いて417番のLeuをAlaに420番のGluをGlnに(L417A-E420Q)それぞれ置換するように変異を導入し、この変異VDRを介したリガンド依存性転写活性促進能をラットオステオカルシンのビタミンD応答領域あるいはdirect repeat(DR3)を含むレポーター遺伝子を用いてCOS-7細胞およびHeLa細胞において検討した。1,25(OH)_2D_3による転写活性促進能はL417A-E420Qで消失した。また、正常VDR(wt)と変異VDRの同時発現実験において、L417A-E420Qはwtの転写活性促進効果に対して弱い抑制効果を示し、さらに変異VDRの79番のCysをSerに置換すると抑制効果は消失した。以上の結果から、ヒトVDRにおいても417番のLeuと420番のGluあるいはその周辺のアミノ酸がリガンド依存性転写活性調節に重要であること(AF-2部位)、AF-2欠失変異VDRのwtの転写活性促進に対する干渉効果は変異受容体のDNA結合を介することが明らかとなった。 2.ウサギ赤芽球ライセ-トを用いたin vitro translation法によりwtおよびAF-2変異VDRを発現させた。これらのwtおよび変異VDRを、大腸菌で大量発現させたN末端に6個のヒスチジンのついたヒトTFIIB(基本転写因子)とin vitroで反応させ、NiNTA agaroseを用いてTFIIBと結合した蛋白を回収し、抗VDR抗体を用いたWestern blot法により解析した。その結果、TFIIBはAF-2欠失VDRとも結合することが明らかとなった。このことから、VDRのAF-2部位にはTFIIB以外の基本転写因子あるいは転写調節因子が関与するものと考えられる。
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