研究概要 |
1、我々は、腫瘍間質に多量に産生されているムコ多糖をchondroitin ABClyaseで消化することにより安定した、明りょうなin situ hybridization シグナルが得るられることを見い出した。 (Histochemical Journal,1997) 2、基底細胞癌では、MMP-1,MMP-2,MMP-3は共に間質の線維芽細胞様細胞に検出されたが、腫瘍細胞には検出されなかった。 3、有棘細胞癌では、MMP-1とMMP-3は、腫瘍と間質の細胞の両者に検出されたが、MMP-2は間質の細胞にのみ検出された。 4表在型の基底細胞癌ではMMP_SのmRNAは検出されないのに対して、有棘細胞癌では早期から、一部のものは日光角化症という前癌状態にも検出された。 6、MMP-3はMMP-1が多量に発現している組織に検出されておりMMP-3とMMP-1の遺伝子発現に何らかの相関が示唆された。MMP-2とMMP-1の間には、相関はみられなかった。 (以上第95回日本皮膚科学会、第21回日本研究皮膚科学会、第28回日本結合組織学会発表) 5、有棘細胞癌を伴う日光角化症では非常に高率(80%)にMMP-1が検出され、MMP-1が発現している日光角化症は、より進んだ段階にあると考えられた。メタロチオネインは日光角化症の表皮細胞、真皮の細胞に過剰発現していた。lメタロチオネインはMMP-1を活性化するというデータを得ており(第22回日本研究皮膚科学会発表)、現在詳しく検討中である。 7、以上癌の浸潤に伴って発現してくるMMP_Sには各々特徴があり、癌浸潤において各々のMMP_Sは異なった役割を果たしていると考えられる。
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