1.ヒト表皮細胞の培養:数名の健常人ボランティアの皮膚生検組織よりトリプシン処理によって得たヒト表皮細胞を、Greenらの方法に従って、マイトマンシン処理した3T3細胞の共存下で培養した。 2.SDIDマウスへの培養表皮移植モデルの確立:コンフルエントになった培養表皮細胞をディスパーゼ処理することにより得られたシート状の培養表皮を、SCIDマウスの背部皮下筋膜上に移植し、シリコンチェンバーで保護した。未処置SCIDマウスにおいて、培養表皮移植片が長期生着することを組織学的に確認した。 3.hu-PBL-SCIDマウスの作製:健常人ボランティア末梢血より分離したヒトリシパ球(hu-PBL)(1×10^6/ml)を100ng/mlの抗CD3抗体(OKT3)存在下で2日間培養後、前日に20μ1の抗asialoGM1抗体を投与したSCIDマウスの腹腔内に2×10^7個移入することにより、hu-PBL-SCIDマウスを作製した。hu-PBL-SCIDマウスの各臓器におけるhu-PBLの再構築についてフローサイトメトリーを用いて解析した結果、ヒトCD45陽性細胞の割合は腹腔内>リンパ節・脾臓>末梢血の順に高く、hu-PBL移入後24日のリンパ節では1.5-25.5%(平均9.1%)の再構築が認められた。再構築したhu-PBLの内、CD4/CD8陽性細胞はそれぞれ36%/40%であった。 4.hu-PBL-SCIDマウスへの同種培養表皮移植:hu-PBL移入後14日に、同種培養表皮をhu-PBL-SCIDマウスに移植した。組織学的に同種培養表皮移植後10日で移植片の脱落が認められた。また、免疫染色で同種培養表皮移植片直下にヒトCD3陽性T細胞の浸潤を確認した。
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