研究概要 |
ET-1によるメラノサイト遊走刺激は三量体G蛋白質およびPLA2を経て行われており、bFGFおよびLTC4ではtyrosine kinaseおよびPLA2を経て伝達されていることを示した(Abstract,J Invest Dermatol 108:573,1997)。Ras遺伝子導入マウスメラノサイトでは親株に比して遊走能が亢進することを見い出した(Abstract,J Dermatol Sci15:128,1997)。Ras遺伝子導入メラノーマ細胞においても遊走能が亢進し、PLA2の活性化が見られることを示した(Abstract,J Invest.Dermatol,109:407,1997)。一方で抜毛した毛の器官培養を行い、外毛根鞘の非活性型メラノサイト(ORS‐MC)の活性化が起こるかどうか検討したところ、数週間の培養にてDOPA陽性メラノサイトが出現し、活性化が起こることを見い出した(Abstract,Pigment Cell Res,10:429,1997)。臨床的には尋常性白斑ならびにpiebaldism患者において色素拡大現象が見られるが、汎発型では見られず、また表皮移植により毛が白色から黒色に変化したものではそれまでは見られなかったORS‐MCが存在するようになることを見い出し報告した(Proceeding of The 10th Japanese‐Korea Joint Meeting of Dermatology,Hakone,pp64-66,1997)。これらのことよりORS‐MCの活性化を誘導することは可能であり、また遊走機構についても知見が得られた。これらの知見をもとにさらにORS-MCの活性化およびメラノサイトの遊走についての機序を解明することにより白斑あるいは白毛の治療法の改善をはかることができると考えた。
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